こんにちは!今回は第156回目になります!
今回は、「傲慢と善良」という小説についてのレビュー記事です。
作者は辻村深月さん。
今回は、こちらの本について、面白いと思ったポイントや、印象的だったことを書いていこうと思います。
こちらの小説、心にズバズバくる箇所が多いこと…。
読み終わっている方は、一緒に共感してくれたら嬉しいです!
それでは、ぜひ最後までご覧ください。
傲慢と善良|現代の結婚がうまくいかない理由
まず、『傲慢と善良』というタイトルからして、非常に秀逸ですね。
小説では、この『傲慢さと善良さ』が『現代の結婚がうまくいかない理由』だとある登場人物が言っています。
110ページにあるセリフを、そのまま引用しますね。
現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、“自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います
いかがでしょうか?
傲慢という言い方は、少しストレートすぎるかもしれませんが、アプリの普及などで選択肢が増えた分、自分の価値観にピタリと合う人が現れるはず、と思いすぎてしまうかもしれませんね。
また、善良さについても、なかなか自ら行動できないという人が増えているというのは、僕自身なんとなく実感します。
ちなみに、2020年の国勢調査において、生涯未婚率(50歳時未婚率)は、男性28.3%、女性17.8%で過去最高の数字だったそうです。
いろいろな事情があるとは思いますが、非常に高い数字だなと思いました。
傲慢と善良|婚活の“ピンとくる”について
この小説で非常に面白いなと思ったことが、先ほどと同じ110ページにありました。
主人公が、結婚相談所の女性に「婚活につきまとう、『ピンとこない』って、何なんでしょうね」と質問します。
みなさん、恋愛において、ピンとくるとかこないとか、思ったことありませんでしたか?
「いい人なんだけど、、、ピンとこないなぁ、、、」なんて思ったことは、きっとあるはず!
そして、みなさん、これに対して、明確な答えをお持ちでしょうか。
恋愛の“ピンとくる”について、この小説では、このように説明されています。
「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です」
「値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は、“ピンとこない”と言います。ーー私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない」
「ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額何です」
先ほど、「傲慢さ」について書きましたが、この説明の方がわかりやすいですね。
この小説のレビュー記事を見ると、『胸がイタイ😓』なんてコメントがありましたが、きっとこの部分を指しておっしゃているのではないでしょうか。
うーん、この部分、婚活だけでなく、就活などでも当てはまりそうですね…。
最後に
今回は、「傲慢と善良」についてレビュー記事を書いてみました。
この分厚い小説の一部しか、書いておりませんが、このページには、『傲慢と善良』の旨みがギュッと凝縮されていますね。
婚活について、なかなかうまくいかない人も多いでしょうし、そういった方にはぜひ読んでもらいたい小説です。
また、この小説、第一部と第二部で主人公の視点が変わっているのも醍醐味で、30代半ばを過ぎた男女の恋愛小説として読んでも非常に面白いです。
女性目線で言うと、「彼氏がなかなかプロポーズしてくれない問題」についても共感できるのではないでしょうか。
まだ、読んでいない方は、ぜひ手に取って読んでみてください。
さて、以前の記事で同じく辻村深月さんの作品である『かがみの孤城』についてレビュー記事を記載しています。
こちら辻村深月作品史上最高傑作と称されているだけでなく、2018年本屋大賞作品でもあります。
ぜひあわせて読んでみてください。
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