こんにちは!今回は第166回目になります!
今回は、「ラブカは静かに弓を持つ」という小説について。
みなさん、『ラブカは静かに弓を持つ』という小説、ご存知でしょうか?
著者は、安壇美緒さん。
こちらの小説は、2023年本屋大賞第2位の大ヒット小説です。
今回は、こちらの本について、あらすじと感想・レビューを書いていこうと思います。
ネタバレも含みますので、ご注意ください。
それでは、ぜひ最後までご覧ください。
ラブカは静かに弓を持つ|あらすじ
この物語を一言で表すならば、“音楽×スパイ”小説。
主人公、橘樹は、全日本音楽著作権連盟に勤めています。
実はこの主人公、昔のある事件がきっかけで、睡眠障害を患い、閉じた性格で人付き合いが得意でありません。
その性格に目を付けた職場の上司から、ある日、特別な任務を託されます。
それが、大手音楽教室への2年間の潜入調査。
いわゆるスパイ行為です。
音楽教室では、レッスンを行う際に楽曲を使用します。
この楽曲使用に対する著作権使用料をめぐって裁判になっているんですね。
そこで、主人公の橘に、音楽生徒としてレッスンに潜入し、証拠を集めてくるようにという指示がなされます。
心を閉ざしてチェロ教室に通い始める橘。
しかし、音楽を奏でる喜び、そして師や仲間たちとの出会いによって、少しずつ心を開いていきます。
スパイとしての葛藤が懇切丁寧に描かれており、とても読み応えのある小説です。
ラブカは静かに弓を持つ|レビュー
それでは、ここから僕の『ラブカは静かに弓を持つ』に対してのレビューを書いていこうと思います。
この物語の魅力は、冷・暖のギャップ。
スパイというと冷たいイメージありませんか?
本性を偽って、捜査に入る。
氷のような心を持っていないと務まりませんね。
しかし、2年間という潜入捜査は、人間関係を構築するには充分すぎる時間です。
音楽教室での師と仲間たちの温かな時間は、こちらまでホッとするような、そんな雰囲気でした。
物語の中盤からは、主人公である橘の葛藤が、こちらも手に取って分かるくらいに、心に重くのしかかります。
スパイとして職務を全うすべきか、それとも会社の指示に反して仲間を守るのか。
そこの葛藤がたまらなく面白い。
この小説の醍醐味です。
みなさんも、何かの葛藤で、心が重くなることありませんか?
スパイというと非日常的ですけど、双方の利益を相反することなどで、心が辛くなる経験などないでしょうか。
きっと、みなさんにもそんな経験があるはずです。
だからこそ、この小説は多くの人から愛されているのでしょうね。
ラブカは静かに弓を持つ|名シーン
個人的にですけど、僕が名場面だなと思うシーンがあります。
それが、音楽教室の仲間の1人である琢郎が、意図せず橘の背中を押すシーン。
小説を読んだ方なら分かると思いますが、物語終盤の出来事です。
ネタバレになるので、詳細は割愛しますが、ここのシーンが、とっても好きです。
なぜ好きかというと、この背中を押してくれた琢郎が、橘にとって言ったら「どうでもいい人」だったから(笑)
なんで背中を押すのがお前なんだよ!(笑)
なんて、緊張感が続く小説の中で、ちょっと緩んじゃっているのが、いいですよね。
でも、案外、人生そんなもんなのかもしれないな、と思ったりもします。
僕が結婚の決断をしたときも、背中を押してくれたのは、職場で苦手だった同僚の人。
「桜もなぁ、もうすぐ見頃だと思ってたら、実はその時が見頃だったりすんねん。結婚も同じや。」
その人は、結婚を先延ばしにして、後悔したことがあったことを話してくれました。
正直、めちゃくちゃ苦手な人だったけど、その話はストンと受け入れることができて、僕の気持ちも固まりました。
なんて、余談が長くなってしまいましたが、人生を大きく左右する出来事を、意外な人から背中を押されるなんてことは、現実にもありますよね。
それがなんか面白い。
意外と自分も、誰かしらのきっかけになっているかもしれないですね。
最後に
今回は、『ラブカは静かに弓を持つ』について書いてみました。
スパイ小説というと、結構激しいイメージがありますが、音楽小説ということもあり、とっても上品です。
そして、この音楽を描写するのが、とっても上手。
僕は、少しピアノを習っていましたが、とても下手くそ。
でも、また何かの音楽を弾きたくなりました。
きっと、この小説をきっかけに、音楽教室に通う人もいるのではないでしょうか。
ぜひ、まだ小説を読んでいない人は、手にとって読んでみてください。
ちなみに、2023年本屋大賞第2位は、『ラブカは静かに弓を持つ』でしたが、2023年本屋大賞第1位は『汝、星の如く』です。
こちらも以前のブログでレビュー記事を書いています。
ぜひあわせて読んでみてください。
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