こんにちは!
今回は、「宙ごはん」という小説について書いていきます。
著者は、町田そのこさん。
2021年には、「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞している作家さんです。
今回ご紹介する「宙ごはん」も、とってもいい物語!
めっちゃおすすめです。
今回は、こちらの本について、あらすじと感想・レビューを書いていこうと思います。
ネタバレはできるだけしないように書いたので、まだ読んでいない方も、ぜひご覧ください。
宙ごはん|あらすじ
まず、「宙ごはん」のあらすじについて。
主人公は、保育園に通う女の子、宙(そら)。
叔母の風海(ふみ)の家族と暮らしています。
叔母の風海のことをママ、叔父をパパ、そして従姉をお姉ちゃんと呼ぶ、まるで普通の家族です。
宙の実母である花野(かの)は、宙とは離れて一人暮らしをしています。
時たま訪れては、可愛がってもらう。
実母とは、そんな関係性でした。
しかし、転機が訪れます。
風海の家族が海外に転勤するのです。
“風海の家族と一緒に海外に住む”か、
もしくは、“日本で実母の花野(かの)と新しく暮らしてみる”か。
決断を迫られる宙。
結局、宙は、実母である花野と暮らすことになります。
新しい生活に期待してはいたものの、やがて一緒に住み始めると、昔の生活が恋しくなります。
環境の変化に戸惑う宙。
しかし、それは、一方の実母の花野も同じ。
物語は、こうして始まっていくのです。
小説では、宙の幼少期から高校生になるまで描かれます。
温かで優しく、そして繊細で傷つきやすく。
そんな複雑な人間模様や感情が、見事に描かれています。
人との温かな出会いや悲しい別れも、この小説の醍醐味です。
ぜひ、一度手に取って読んでみてください。
宙ごはん|作者が伝えたかったこと
「人は変化して、成長していく」
これこそ、作者が伝えたかったことですね。
実際、インタビュー記事に書いてあります。
インタビュー記事では、このようにおっしゃっていました。
花野のセリフである、「私、40歳を過ぎたのに成長できている。すごい!」というのは私が感じたそのままを彼女に言わせています。
とのこと。
町田その子さんは、1980年生まれ。
花野と同じ年代ですね。
あの幽霊みたいな花野が、物語終盤では、パワフルと評される。
この物語の主人公は、宙だけど、
花野の変化や成長に、心を打たれる読者も多いのではないでしょうか?
それと、変化といえば、宙の彼氏である鉄太の変化。
純粋で真っ直ぐな鉄太も、高校生になると、変化がみられます。
これは、成長と言っていいのかわからないけど、「人は変わっていく」ことを如実に表しているな、と感じました。
あと、保育園では犬猿の仲であった大崎マリーとの関係性も、変化してますね。
“人は変化して、成長していく”
そんな当たり前だけど、人の素敵な部分に光が当てられていて、
「そうだ!幾つになっても、自分も成長できるんだ!」
と、僕も励まされた気がします。
宙ごはん|名言
「そう。『とにかく生きる』が最優先。そのあとはいろいろあるだろうけど、『笑って生きる』ができたら上等じゃないかなあとあたしは思ってる。なかなか難しいけどさ、寿命が尽きるまでに叶えりゃいいじゃん?」
これは花野のセリフ。
ところで、みなさん、どこの国で年間2万人が死んでいると思いますか?
それは、日本です。
自殺によって、毎年2万人の方が、亡くなっています。
もし、あなたの心が辛くなってしまった時、
そんな時は、このメッセージを思い出してください。
ちなみに、このセリフは、物語は終盤に登場します。
花野の大事な人は、飲酒運転の被害事故で、亡くなりました。
この言葉は、加害者の妻に向けられたものです。
加害者の妻は、夫の罪を自分の罪同様に感じ、苦しみの最中にいました。
人間誰しも、思い込みから抜け出せないことってあると思います。
まるで、ガラスケースに閉じ込められるような。
でも、人の一言が、ガラスケースをヒョイと軽く持ち上げて、取っ払ってくれる。
みなさんも、そんな経験をしたことありますよね?
今回の花野の言葉は、まさにそんな感じ。
加害者の妻は、この一言でハッとし、救われたのではないでしょうか?
最後に
今回は、「宙ごはん」について、書いてみました。
この小説では、タイトルにも書いてある通り、『ごはん』も大事なエッセンスです。
ごはんは、人を温め癒してくれる。
主人公の宙も、ごはんに気持ちを温めてもらった1人。
ごはんの温かさは、本を通じて、読者の心も温めます。
読み終えた後は、きっと、ほっこりした気持ちになれるでしょう。
あなたも、ぜひ手に取って読んでみてはいかがでしょうか?
最後に、「宙ごはん」の他にも、ごはんを通じたとっても素敵な小説があります。
それが、『マカン・マラン』
とにかくおすすめな物語です。
以下の記事では、『マカン・マラン』について、レビュー記事を書いています。
ぜひあわせて読んでみてください。
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