こんにちは!
今回は、古内一絵さんの小説である『十六夜荘ノート』&『痛みの道標』について、レビューを書いていこうと思います!
古内一絵さんの作品では、日本の戦争当時の話が、克明に描かれていることも多いです
この2つの作品はまさにそう!
本日、このブログを書いているのが、8月15日ということもあり、今回レビューを書いてみようと思いました
フィクションではありますが、戦争の悲惨さが、胸にとても響く作品です
ぜひ、最後までご覧ください
十六夜荘ノート|あらすじ&レビュー
それでは、まず『十六夜荘ノート』から書いていきます
主人公の一人は、現代に生きる“雄哉”
そして、もう一人雄哉の大伯母の“玉青”
この2人の視点から描かれます
玉青の物語は、戦時中から戦後直後にかけて描かれていました
僕らの歴史観って、「戦後すぐに日本は成長して、一気に先進国に上り詰めた」という認識じゃないですか?
でも、やはりそこは敗戦国
敗戦直後の日本では、闇市や戦争孤児を代表するように、非常に混沌とした暗い時代がありました
小説では、そこで必死に生きる玉青の姿が描かれています
この物語では、戦争の“悲惨さ”“恐ろしさ”がギュッと詰まっていて、心にズシンときた重みがありました
でも、一方で感じられるのは、“生きていく力強さ”
読んでいて、「頑張って生きていこう!」と、とても前向きになれる作品です
また、現代を生きる雄哉の物語も、いいアクセントになっています
物語の最後には、この2つの物語が繋がっていたことに気付かされます
ドラマチックで、尚且つ力強さも随所に光る、とっても素敵な小説です
痛みの道標|あらすじ&レビュー
さて、もう一つの作品である『痛みの道標』について、書いていきます
この作品も、現代に生きる主人公“逹希”と、その祖父である“勉”の2つの視点で、描かれています
勉の物語は、戦時中の日本
ではなく、インドネシア
勉は、戦時中インドネシアにて従軍していました
とはいっても当初任された任務は、食糧調達の支援
稲作です
そこで世話になる日本人の家族と食事を囲んだり、現地人と力を合わせたり、
なんとも牧歌的で大らかなところから、勉の物語はスタートします
ただ、次第に日本の戦況が悪化
勉のところでも、例外なく、戦火の渦に巻き込まれていきます
ここで、軍隊という組織の理不尽さが、どうしようもなく勉に降りかかります
この物語では、「組織の理不尽さ」がテーマになっていると思いますが、それは現代も同じ
自分が可愛くて、人に責任を押し付けたり
トカゲの尻尾切りをされたり
現代を生きる逹希は、ブラック企業に勤めていますが、
戦時中ほど強烈ではないにせよ、節々に共通点を感じられます
みなさんも、組織の理不尽さを感じたことは、ありませんか?
この小説は、戦争の悲惨さを伝えると同時に、そんな人へのエール本にもなるはずです
最後に
僕らは戦争を知らない世代だし、この先、戦争の記憶は、もっともっと薄れてくるでしょう
だからこそ、折に触れて、戦争の悲惨さを感じ取るのも、大事なのかなと思います
先日、オリンピックで活躍した早田ひな選手が、「特攻資料館に行きたい」と発言されていました
この発言に対して、色々と文句を言う人も多いと思いますが、
過去にあった事実を知るという姿勢は、本当に大事だと僕は思います
今回紹介した小説は、読みやすいし、ぜひ機会があったら読んでみてください
最後に、同じく古内一絵さんのおすすめ小説を紹介した記事も以前書いたので、こちらもぜひ読んでみてください
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