こんにちは!今回は第106回目になります!
今回は、「夜明けのすべて」という小説について。
みなさん、『夜明けのすべて』という小説、ご存知でしょうか?
著者は、瀬尾まいこさんという方で、2023年に映画化予定の作品です(映画化は、読み終わった後に知りました)
今回は、こちらの本について、あらすじと感想を書いていこうと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
夜明けのすべて|あらすじ
主人公は、28歳の女性、藤沢美紗。
真面目で誠実。仕事もそつなくこなせる。
そんな彼女ですが、月に1回『めちゃくちゃ攻撃的な人格』に豹変します。
原因は、PMS(月経前症候群)。
イライラが止まらず、人を口撃し、自己嫌悪に陥るというサイクルを繰り返しています。
もう一人の主人公は、山添孝俊。
25歳男性。
パニック障害を患っています。
1ヶ月前に、美紗が働く栗田金属に入社しました。
以前は、仕事もプライベートもバリバリこなしていた彼。
しかし、パニック障害を患ってからは、無気力に生きています。
はじめは、お互いの病気のことが分からずに、苦手意識を持っていた二人。
ところが、あることがきっかけで、お互いの病気のことを知り、徐々に交流を深めていきます。
夜明けのすべて|感想①
この物語は、PMSとパニック障害について書かれています。
どちらも、気付かれにくい病気ではないでしょうか?
今回の物語では、たまたまお互いの病気を知ることができた。
それがなかったら、ずっとお互いのことを嫌っていたんじゃないかな?と思いました。
でも、日常では、病気の人だと知らぬまま接していることの方が多いのではないでしょうか?
自分が病気だと告白するのは怖いと思いますしね。
僕の周りの人でも、嫌だなと思う人がいます。
めちゃくちゃ自分の不機嫌を押し付けてくるし。
もしかしたら、彼らのように病気を抱えているだけかもしれないな、と思いました。
病気だと知ることができたら、少しその人のことが受け入れられたりするかもな。
そんな風にも思いました。
夜明けのすべて|感想②
もう一つ、感想として思ったことがあります。
それが病気の当事者としての立場について。
“医者は患者の痛みを軽く見積もってしまう”
そんな風に聞いたことがあります。
当事者じゃないと分からないこと、たくさんあると思います。
例えば、パニック障害については、このような症状だと書かれています。(厚生労働省HP参照)
突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態。
とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがある。
症状としての知識は、インターネットで簡単に調べられます。
でも、これらの症状にプラスして、外出できない理由から友達や恋人を失ったり、仕事を辞めざるを得なくてお金に困っていたり。
そのような複合的な苦しみというのは、きっとあるはずです。
でも、ここまでは当事者じゃないと、絶対に分からないですよね。
ちなみに僕はアレルギー性皮膚炎なのですが、このせいで嫌になったことはたくさんあります。
3年前には、本当に酷くて、友達と風呂に入るのが、とっても嫌でした。
病気に限らず、当事者じゃないと分からないことってたくさんあるなと思います。
でも、変に同情されたり、「分かるよ」なんて安易に言われたくもないですよね。
見守ってくれたり、知らん顔してくれたり、そんな心遣いが嬉しかったりします。
最後に
“他人の苦痛を他人の苦痛として慮る”
これは、『スタンフォード大学の共感の授業』という本に書いてあった言葉です。
他人の苦痛は、当事者しか分からない。
だから、他人の苦痛は、他人の苦痛として慮る必要があるのかもしれませんね。
今回ご紹介した『夜明けのすべて』、わりと分厚い本ですが、とってもサクサク読めました。
2時間程度で読めちゃいます。
“久しぶりに小説読みたいな”とか、“周りとの人間関係に苦労している”、なんて方は、ぜひこちらの本、実際に手に取って読んでみてください。
また、以下の記事では、第165回芥川賞候補作になった『水たまりで息をする』について、小説のあらすじと、ラストの考察を書いています。
小説に興味ある方、ぜひあわせて読んでみてください。
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